米中貿易摩擦受け「アキレス腱」の半導体国産化を急ぐ中国

 【北京=三塚聖平】世界的な半導体不足で、世界最大の自動車市場の中国も揺れている。独フォルクスワーゲン(VW)の中国合弁会社などが、一部の車種で半導体供給不足の影響を受けていると中国経営報(電子版)が報じている。

 中国紙の経済日報(同)によると、中国自動車工業協会幹部は、昨年12月下旬から半導体不足に直面しており、「今年1~3月期の生産に大きな影響をもたらし、恐らく4~6月期にも響くだろう」と指摘した。中国では新型コロナウイルス禍からの経済回復が続いているが、自動車市場の変調が景気に水をささないか警戒感が出ている。

 「世界の工場」と自負する中国だが、ハイテク製品の生産に欠かせない半導体の一部を海外に頼る「アキレス腱(けん)」の存在に直面する。きっかけとなったのはトランプ米政権との貿易摩擦だ。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は、米政権が同社への半導体輸出を全面的に禁じたことで主力製品の製造に支障をきたす事態に陥った。

 習近平指導部は半導体の国産化に躍起となっているが、実現には時間がかかるとみられる。特に自動車向けは高い水準が求められるといい、中国の業界関係者は「短期的にはやはり国産への代替は難しい」との見方を中国経営報に明かしている。中国は、電気自動車(EV)や自動運転を国家的に推進しているが、その製造に必須の半導体調達がままならなければ絵に描いた餅に終わりかねない。

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