イエレン米財務長官、中国を為替操作国に認定しない方針-関係者
Saleha Mohsin-
議会に半期に一度提出する為替報告書は15日が公表期限
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前政権時代の為替操作認定のハードル引き下げを覆す可能性

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イエレン米財務長官は就任後初の為替報告書で中国を為替操作国に認定しない方針だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。米中の新たな対立は避けられる見通し。
議会に半期に一度提出する同報告書はまだ策定中で15日が公表期限だが、財務省がいつ公表するかは明らかになっていない。財務省報道官はコメントを控えた。
トランプ前政権時代、財務省は通常の公表時期でない2019年半ばに突如、中国を為替操作国に認定したが、そのわずか5カ月後、米中貿易交渉で譲歩を引き出すため認定を解除。為替報告書を政治化していると批判された。
関係者らによると、イエレン長官のチームは、競争上優位に立つため為替を操作していると認定するハードルを引き下げたトランプ政権の19年の決定を覆す可能性を議論している。この協議が非公表だとして関係者らは匿名で語った。決定が覆された場合、為替報告書の対象国のうち、警戒が必要な監視対象国・地域の数はほぼ半減する可能性があるという。
オフショア人民元上げ幅拡大
オフショア人民元は中国の為替操作国認定見送りの可能性の報道を受け、対ドルで上げ幅を拡大。約0.2%高の1ドル=6.5462元前後で推移している。
バイデン政権は「不公正」な貿易慣行や人権侵害などの問題で中国に責任を取らせようとしている。またその一方で、トランプ前政権が課した対中追加関税をどうするかについて検討を続けている。
為替操作国に認定された場合でも直ちに制裁を科されることはないが、金融市場の混乱を招く可能性がある。米政権は為替レートの不均衡の是正に向け、認定国と交渉することになる。認定後1年以内に解除されない場合は米政権は政府契約からの排除などの制裁を科す可能性がある。
米国の為替操作国判断基準: |
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・対米経常黒字額が国内総生産(GDP)比2%以上 |
・対米貿易黒字額が年間200億ドル(約2兆1900億円)以上 |
・為替市場介入の総額がGDP比2%以上 |
中国は次の為替報告書で為替操作国認定を見送られる見通しであるものの、財務省当局者は中国が国有銀行の活動を通じて為替介入を隠蔽(いんぺい)しているのではないかと懸念している。
イエレン氏は指名承認のための1月の議会公聴会で、米国は諸外国の為替操作の企てに「反対」すべきだと発言。また2国間の貿易赤字を「唯一の包括的基準」と見なすべきではないとも述べ、為替報告書の基準変更を示唆していた。
原題:Yellen Plans to Spare China From Currency Manipulator Label (1)(抜粋)