バイデン氏、半導体不足は「最優先課題」-政策対応を与野党支持
Jenny Leonard、Keith Laing、Josh Wingrove-
半導体分野に500億ドル振り向ける政権案を超党派議員が支持
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資金の使途や配分方法、自動車業界や半導体業界で議論の的に
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バイデン米大統領は12日、世界的な半導体不足を巡る産業界との協議で、問題解決のための政府資金拠出で超党派の支持を得ていると説明した。半導体の供給減により、自動車メーカーは世界的に一部操業停止などを強いられている。
10社を超える企業の最高経営責任者(CEO)が参加した同協議でバイデン氏は、半導体の製造と研究に500億ドル(約5兆5000億円)を振り向けるという自身の提案に賛同を示した上院議員23人と下院議員42人による共同書簡を読み上げた。
バイデン氏は「われわれの提案と、米国民のために実際に仕事を成し遂げられると私が考えている分野に両党の強い支持がある」と表明。「書簡には『中国共産党は半導体サプライチェーンの再編と支配を積極的に計画している』と書かれており、それを可能にするためどれほどの資金がつぎ込まれるかが論じられている」と述べた。
最優先かつ喫緊の課題
ホワイトハウスは同協議に関する文書で、半導体不足がバイデン大統領にとって「最優先かつ喫緊の課題」だと説明。協議では産業界のリーダーから話を聞き、短期的および長期的なアプローチについて議論したとしている。
協議参加者からは将来的な課題を減らすため、半導体サプライチェーンの透明性向上や需要予測の改善などを強調する意見が出されたという。
ディース国家経済会議(NEC)委員長とサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が主催したバーチャル形式での同協議に参加したのはゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラ氏、フォード・モーターのジェームズ・D・ファーリー・ジュニア氏、アルファベットのスンダー・ピチャイ氏ら。政権からはレモンド商務長官も参加した。
ホワイトハウスのサキ報道官は同日、「この会議は何かの決定や発表を行うものではない」と説明。その上で、バイデン政権が半導体供給網の制約に対処し、影響を受ける企業や労働者への打撃を和らげることに真剣に取り組んでいることを同協議は示していると語った。
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インテルのパット・ゲルシンガーCEOは協議後のインタビューで、ホワイトハウスと議会は国内の製造および研究開発の強化など、半導体産業の支援で積極的に取り組んでいると述べた。
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協議には台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音会長も参加。同社が進めるアリゾナ工場建設計画は史上最大級の対米直接投資であり、同社は米政府と連携しこの計画を成功させる自信があるとのコメントを発表した。
資金の使途など議論の的に
半導体向け追加資金拠出を支持する議員の多くは同資金について、バイデン氏が掲げるインフラ計画の一部としてではなく、中国への対抗を念頭に置いた独立した形の競争法案に盛り込むことを望んでいる。
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しかし、同資金の使途や配分の方法を巡っては、自動車メーカーなど半導体の需要サイドだけでなく、半導体メーカー同士でも議論の的になっている。
事情に詳しい関係者によると、ホワイトハウスはこの問題に関して公式な立場を取っていないが、半導体業界の首脳らに対しては、1つの業界に対する特別扱いは支持しないとの意向を内々に示している。
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